やらないほうがいいこと

結婚や就職、別れなどというかなり大事な局面を自費出版とはいえ書籍にして明確に残すというのは恥ずかしさがなくしきれない部分かもしれません。あるいは、そういった局面で失敗などしてしまい、上手く行かなかったことがあったりすると、それを大っぴらにしてしまうこともためらわれても仕方のないことでしょう。そんな場合に、ただ「○○ということがあった~」「誰々と何々をした~」程度でその大事な局面が済まされてしまうのは、読み手にとって何の臨場感もなく、感情移入してスムーズに読んで理解してもらうことが難しくなってしまいます。人生というひとつの物語の中には、その局面局面において、数え切れないほどの人々の登場があるはずです。いわば物語の登場人物が数多くいるにも関わらず、そういった人々の存在を省いてしまえば、結果的にはその存在を抹消してしまったことにもなりかねません。また、そういった人々のことを克明に描写するおかげで、自分の歴史がより際立つこともあるのではないでしょうか。自分の歴史を目立たせたいから、極力登場する人間の数を減らしていくという考え方では、薄味の自分史になりかねません。
さらには、その局面ひとつ迎えるにしても、気が遠くなるような下積みやイベントを乗り越えたこその結果としてそうなったわけで、ひとつひとつのエピソードを省略するという結論には行き難いのではないでしょうか。自分史なので、自分が中心であればいいような気もしますが、終始自分がああしたこうしたと言うだけでは、単なる自慢にもなりかねません。自分がこう頑張ったからすごい、というような文を進んで読んでくれるような他人はあまり多くはなさそうです。その局面局面において、「誰々にこうしていただけてこうだったから感謝している」など、周りへの畏敬の念や謝辞を素直に記述していけば、読み応え、説得力のある人生の歴史が表現できるのではないでしょうか。